は等圧線が北西から南東に描かれているときが要注意です。
一方、紀伊水道や豊後水道では南北に風の通り道があるため、北風が強いのが特徴です。また各水道の南海上では冬型気圧配置のとき予想外の強風になっていることがありますので注意が必要です。
この海域では、天気図の等圧線が南北に立っているときが要注意です。
冬型気圧配置のときは、太平洋側の陸上の天気は晴れますが、海上ではそうはいきません。気象衛星「ひまわり」の写真を見ると、大陸の寒気団が強いときは太平洋側の海上でも日本海と同じように雲が発生していることが分かります。これは、海水温と気温の差によるもので、このような雲が発生しているときは、たとえ沿岸の波が低くても沖では波が高いと判断するべきでしょう。
三、 低気圧
春や秋には、日本付近を低気圧が周期的に通るようになります。
低気圧による風も地形の影響を受け、この海域では次のような特徴があります。
低気圧が日本海を通るような場合は、瀬戸内海で西風が強くなります。また低気圧が南岸を通るような場合、紀伊水道では低気圧前面で南東風が強くなります。
低気圧が東に抜けた後、六甲山の南側では「六甲おろし」と呼ばれる局地風(北風)が吹くことがあります。また、この逆で一般風が南風の場合に、愛媛県の東予地方では「やまじ風」と呼ばれる局地風一南風)が吹くことがあります。
四国沖では、予報官を悩ませる低気圧として土佐沖低気圧が有名です。これは四国沖で低気圧が発生するもので、予報が難しい代表的なパターンとなっています。関東地方の南海上にも同じような低気圧が発生することがあり、共通点が多いようです。
四、 濃霧
霧の発生原因はいろいろありますが、広い範囲で海上に発生するような場合は、多くは暖気の流入によるものです。このような場合は全国的に発生しますし、気象衛星などで把握でき、予想も比較的容易です。しかし、瀬戸内海に発生する霧は予想が困難で、しかも局地的に発生することが多いため予報官を悩ませています。
瀬戸内海の霧は、気温が水温より高くなり始める三月下旬ごろから発現し始めます。最盛期は六〜七月で、八月には激減します。このうち、晴天の日に局地的に発生する「晴れ霧」の出現回数が多いのが特徴です。
瀬戸内海の晴れ霧は、海陸風や山谷風、点在する多くの島固有の局地循環、また海峡などの潮流がもたらす水温の水平傾度などが複雑に関与しています。これらの影響により、下層に水蒸気が閉じ込められ、夜間に冷やされて霧になるといわれています。
瀬戸内海の晴れ霧は、おおむね放射冷却によるところが大きいために、高気圧に覆われて安定した日の早朝にその大半が発生しています。
晴れ霧の厚さ(高度)は発生時六十メートル程度のものが多く、日中は二十〜三十メートルと低くなり、団塊状、ロール状になり流動します。マストは見えるが船体は見えないような状態がこれに相当します。
五、 台風
海上警報の発表回数のグラフでは、夏から秋にかけて全体の発表回数は少なくなりますが、九月を中心に台風害報や暴風警報の発表回数が多くなっています。
これは言うまでもなく台風によるもので、西日本での風や波による被害は、台風によるものが圧倒的に多くなっています。台風に関して四国沖の特徴と言えば、太平洋側共通の特徴として、うねりがあげられるでしょう。この海域では、たとえ台風が遠く離れて、風が強くなくてもうねりには注意が必要です。
六、 おわりに
瀬戸内海などの内海と四国沖などの外海では、風や波などの特徴が大きく異なります。神戸海洋気象台では、それぞれの海域の特徴を把握し、これからも海域の海難防止に努めていきたいと考えています。

 

 

 

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